野球肘について
Ⅰ.原因
野球肘は内側・外側・後方型の三部位ありますが、成長期では内側型の野球肘が特に多いです。
肘の障害を発生させるフェーズが大きく分けて2つあり、
①レイトコッキング~アクセレレーションにかけて腕をしならせる際に生じやすい肘外反力(図1)
②ボールリリースからフォロースルーにかけての肘伸展力(図2)
外反力とは上腕骨に対して前腕が外に振れようとする力であり、肘の内側には牽引力、肘の外側には圧迫力がかかり、肘伸展力にて後方にストレスがかかります。
これらのストレスは球を投げる際にかならず生じるものです。
速い球を投げようと腕を強く振れば振るほどストレスが大きくなりますが、肘下がりや体の開きが早いなどの悪い投げ方、肩甲骨~体幹・下半身の動きが悪ければ必要以上に肘にストレスがかかり、野球肘となります。
もちろん投球数が多いということも野球肘になる原因です。成長期の身体的特性として股関節周囲の筋の柔軟性の低下が起こりやすいです。しかし、身体の成長が早く、身長が高い選手が投手や捕手などの主要なポジションを任せられることが多く、より肘への負担が大きくなるという現状があります。また、日本の成長期の野球環境として、通年投球をしていることが珍しくなく、土日に試合が集中する背景も肘へのストレスを高める要因となっています。
図1 肘牽引力と圧迫力
図2 肘伸展力
Ⅱ.症状
初期は投球中~後に肘周囲に張りを感じるようになります。痛みを感じることは少なく、感じても投球時に違和感程度ということが多いです。しかし、離断性骨軟骨炎などに多いですが自覚症状の少なさ故に発見された時には重症化しており投球6か月間禁止などということも多々あります。この時期に発見や予防ができていれば重症化せずにすみます。
徐々に肘の曲げ伸ばしの動きが悪くなり、投球時に肘に痛みを感じるようになります。投球後に熱感や腫れを生じるようになり、痛みが投球時以外にも出現しやすくなり、最終的には痛みのために投球が不可能となります。この時期になって病院に行き野球肘と診断されることが多いのが実状です。
Ⅲ.チェックポイント
①肘の伸展テスト
③体幹の捻りテスト
⑤大腿部後面の柔軟性テスト
②肘の屈曲テスト
④肩後方の柔軟性テスト
⑥大腿部前面の柔軟性テスト
Ⅳ.予防方法
テスト①で×の方
テスト③で×の方
テスト⑤で×の方
テスト②で×の方
テスト④で×の方
テスト⑥で×の方